「風鈴・碁ランティア 第4回」

於 はなやぎ・須磨

                                             高野圭介


厚東芳美さんの話
高等芳美さんは須磨・離宮前クラブの会長さんである。
しみじみと述懐される。

「私らのように、段持ちの方に、ちょっと手の届かん者は
この歳になって、もう強くなるというよりも、
もっと碁を楽しみたい。

そのためには、まあ、3,4子差程度までの碁が一番です。
きっと、ディサービスに来られる方々も同じでしょう。
あほらしい話でしょうが、本当ですよ。」

     
加齢は加齢
処替われば品変わる。これは品物だけでない。
百人寄れば百の生き方がある。

理想を持ち続ければ老いない・・・・・とはいうものの、
やはり、加齢は加齢。みんなの行く道じゃ。

私たちの知らない世界に首を突っ込んで、
別の世界を垣間見たのだ。


     
福田館長さんの話。

「このはなやぎにはいろんな方が来られます。
老いに従い、視力の薄れていく人がいました。

碁が好きで打ちたいのですが、石が見えなくなってきた。
碁の好きな良い相棒がいるのですが、どうにもならない。
気の毒に、ここへ来る値打ちがない、と言って・・・

さあ、今はどうしてらっしゃるかな?」



「私には何も知らせてくれなかった。だから何も出来ない
と、思い込んだら、テコでも動かない。
困ったなぁ・・と、思っていると、その口の下で、
けろっとして、参加される。
デイサービス・・って、こんな処なんですよ


     
山口 勝さんの話。
「私は美術の学校で学んだのですが、
絵を描くとき、質感が出るように描きなさい・・・
と指導を受けたものでした。」



サルスベリ・百日紅・・・に話が及んだとき、
「業界では百日紅を百花木と、呼んでいます」
へー、と思って、調べたが、私の辞書には無かった。

「銀杏の大木あり、目通し一丈八尺云々・・とある、目通しとは?」
「植木業界では、メドリと呼んでいて、地上からすぐ上の辺りのこと」

隠語ではないのだろうが、知らない世界には
やはり、知らないことがいっぱいあるようだ。


談たまたま盆栽に及んだ。

盆栽にも流行があって、
根を地上に上げるのを根上がりと言うのですが、
妙に、根が幹のように太くなるのです。
その習性を利用したりします。

そうでなくても、太く見せるのに、木自身が
寄せ木細工のように、活きたままくっつけていくのです。

騙しのようですが
たとえばサツキ。
いろんな色の花が次々と時を変えて咲いてくるのです。

また、活きる力は無類で、幹の中が空洞になってしまっても、
皮だけで活きうる水分を吸い上げてくるんですね」

空洞の幹        
岡貞子さんの話。
「今、パソコンを見よう見まねでやっていますが、
インターネットのグーグルア−スを勉強してるんですよ」

碁の交流は人生の交流だ。森羅万象すべて師なり

    

園尾義一郎さん
訪ねた



翌朝、浜で日の出を迎え、体操の帰りに、
園尾義一郎さんを訪ねた。

庭先に金雀児が楚々と咲いていた。